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水野祐(@TasukuMizuno)のブログ

弁護士ですが、「リーガル・アーキテクト」という意味での法律家というつもりで生きています。Twitter: @TasukuMizuno / Lawyer / Arts and Law / Creative Commons Japan / FabCommons (FabLab Japan) / All tweets=my own views≠represent opinion of my affiliations

「〜法」と名付けられる前に

仕事 掲載情報

「何法の専門なんですか?」とよく聞かれる。

著作権法などの知的財産法の専門家であると説明することが多いけども、30社強の会社の顧問をやっていると、日常的な契約法務から投資契約、取締役会手続、雇用、業務委託、債権回収、賃貸借など、様々なシチュエーションで会社法民法、労働法など多岐にわたる法律を扱う。純粋に知的財産法を扱っている時間など、ごくわずかだ。

 

この仕事をしていると法分野ごとに専門や業務の切り分けをしている人に多く出会う。専門性をつけろと声高に言われることも多い。

しかし、もしあなたが未開のフロンティアを扱いたい法律家なのであれば、知的財産法とか会社法とか、「〜法」と呼ばれる分野によってあなたの専門性を捉えてはいけない。そうではなく、実際に生まれている新しい技術や文化、それらを背景としてビジネスに対する興味でもって、あなたの専門性を捉えるべきだ。

なぜなら、「〜法」と呼ばれる分野は、すでにその背景となる技術やビジネスがずっと先行し、様々な議論を経たうえで法律あるいは法学として体系化されている分野だからだ。すでに「〜法」と付いた分野は、その分野における多くの議論の蓄積のうえで成り立っているので、そのような分野を追いかけていても真の意味でのフロンティアを目指すことは難しい。

もちろん、すでに体系化された法分野にも新しい領域は生まれ得るし、そのような領域を扱う法律家は不可欠なので、これはあくまでもわかりやすい意味でのフロンティアを扱いたい場合の話である。

重要なことは、それほどまでに法制定あるいは法学の議論というのが、現実の事象から遅れを取ることであり、それは昨今の情報環境の変化のなかで倍加しているという事実と認識である。

法律家に圧倒的に足りていないのは、自らの興味ドリブンで動くという姿勢だとぼくは思っている。そのような姿勢が欠けているから、単なる受託になってしまいがちなのではないか。

 

ということで、というわけでもないのだが、本日6/10発売の雑誌版WIREDに「The Law, Behind Technologies・21世紀法律相談所」という小特集が組まれている。

AI、ビッグデータビットコイン、ブロックチェーン、ゲノム、フェアユース、自律走行車、忘れられる権利、民泊、3Dプリンティング、パブリックスペース、BIDなど多様な先端領域における法のあり方について、それぞれ短いコラムを書いているのと、インタヴューを掲載していただいている。これらの先端領域にはまだ体系化されていない問題群が海に浮かぶ離島のように散在しているのみだ。具体的な実践例として、風営法改正に尽力されている齋藤貴弘弁護士のインタヴューも必読である。

その他、「いい会社」特集では、注目の「B-Corporation」に関する記事もあり、読み応え十分。

ぜひ買って読んでいただきたい。

 

wired.jp